サウナグッズの研究室

ニューウイング吉田さんのインタビュー

あけましておめでとうございます。サウナグッズ研究室です。

これまで、イベントや物づくりなどで何度も交流させていただいてきたニューウイングの吉田支配人。

ずーっと思ってたのですが「めっちゃ面白い」んですよね。

その面白さが僕の中でちょっとづつ蓄積して、いつしか「インタビューしたいな」と思うようになりまして、
2021年1月7日にインタビューさせてもらいました。

※ちなみに僕はインタビューなんてしたことありません

およそ5時間に及ぶロングインタビューをまとめてみました。

1万字くらいのインタビューです(質問も含む)

お時間あったら是非読んでみてください〜。

インタビュースタート

※ 太字は私、細字は吉田さん

・改めて今日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

・お名前と年齢を教えてください
吉田健 48歳です。

・出身地と育った家族構成をおしえてください
長崎県長崎市出身、7人家族で、両親と五人兄弟。
五人兄弟の真ん中。お姉さん、お兄ちゃん、僕、弟、弟2です。

家は坂の上の住宅街にあって、眼下に広がる海を眺められるようなところに住んでいました。

・現在の家族構成を教えてください
奥さんとねこ二匹です。猫の名前はレオ(茶x白)とグレ(キジトラ)です。

・好きな食べ物と嫌いな食べ物を教えてください
きな粉もち、きな粉全般が好き。 
ネギとつく食べ味が嫌い(長ネギ、玉ねぎ)大人だから食べれるけど。

・小さい頃ハマってた物は?
ゲーム(特にドラクエ、ハドソン系のシューティングゲーム、迷宮組曲)
と、ビデオカメラで映画撮ってた。

・ちょっと待ってください。映画撮ってたってなんですか?(笑)
映画っていってもみんなが遊んでるところだったり、テレビ番組のパロディみたいな物を近所の友達集めて撮ってた感じ。今で言えばユーチューバー的な感じかな。
もし自分が今中学生だったらユーチューバーになってると思う。

・なるほど笑、そのきっかけはなんなんだったんですかね?
当時空前のバンドブーム(イカ天とか)やテレビゲームブームだったんだけど、それらをやるより、撮る方が面白かったですね。
周りの友達が面白かったっていうのもあるかもしれない。
最近”サウナを愛でたい”の柳橋さん(プロデューサー)とかと絡む時に、
凄さが伝わってくるんだよね。
「こういう風にしたいのに!撮れない!」ってなる難しさを知ってるから、
「すごい上手にとるなぁ〜」って思うよね。

・面白いですね。ちなみにサウナ意外の趣味があったら教えてください。
いろんな物を自分のタイミングで勝手にみてる感じ(プロレス、漫画、映画、演劇など)
あとはオタクの人の話を聞くのが好きですね。

・オタクの人の話を聞くというのは具体的にどういうことですか?
オタクの人っていうのは、普通の人が気づかないようなところまで見てたり、そこで情報のやりとりしてたりするじゃん。メッセージが込められてたり、なんか意味があったりするっていうか。
そういうのの作り手側の話も、受け手側の話も聞いてるのが好き。

・なるほど。わかる気がします笑 では、映画や音楽、アートなどで影響を受け、今でも好きなものがあれば教えてください。
好きな映画:ゴッドファーザー ミッドナイトラン 普通のデニーロが好き
好きな音楽:結局ブルーハーツ、甲本ヒロト
「どうにもならないってことは、どうにでもなっていいこと」という歌詞は今でも時々思い出す。

・尊敬する人、指標にする人がいれば教えてください
実は尊敬という概念がよくわかってない。誰っていうのはない。

・なぜサウナ施設の支配人になられたんでしょうか?また温浴施設での経歴を教えてください
二十歳で東京温泉(銀座六丁目)に入社したのが温浴業のスタート。

特に温浴施設で働きたかったわけではなく、募集があったから応募してみたら受かった。
東京温泉では6年間働いて、ほぼバイト(片付けや掃除など)のような仕事だったけど、東京温泉の偉い人(許斐(コノミ)さんの二代目)によく改善案とかを喋ってた。
息子の許斐さん(三代目)とはよくゲーセン行って車のレースのゲームとかしてた。

※東京温泉は日本初のサウナ施設と言われている
※2 許斐さん=東京温泉の経営者一家

6年働いたときに東京に疲れた感じがあったので、一旦地元長崎に戻り一年くらいフラフラしてた。
フラフラしあきた頃に、東京温泉の東京駅店(当時すでに銀座のお店は撤退)の支配人から「またウチで働かない?」と電話があった。で東京に戻ることにした。

東京温泉の八重洲口、大丸の地下に当時あった施設で、前と同じような内容の業務を1-2年続けるも、サウナに飽きちゃって、違う仕事をしようと思い立って青山の病院で清掃員として働いていました。
清掃員の仕事は1年くらいかな?「お金にならないな〜」と思っていたところ、旧ウイング(現ニューウイング)で働いていた幼なじみから「経営変わって新規スタッフ募集してるからうちきたら?」と声がかかったのでいってみることにした。その時30歳くらい。

そのタイミングからウイング→ニューウイング に店名もリニューアルされ、
僕はその時に誓いを立てました(クラピカみたいに)

「何があっても辞めない」

特に理由はないけど、何回か転職して「辞めない」事だけはまだやってないなと思ってそう誓いました。

そしてニューウイングのスタッフとして従事しはじめましたが、その当時は空前のサウナブームで毎日めちゃめちゃ忙しかった記憶がありますね。

その当時の現場責任者は剛腕で、超トップダウンな運営でした。

若干その方針に疑問を抱くこともありましたが「俺だったこうするな〜」というアイデアを溜めつつ、
指示を実行しなければいけない立場でもあった。

現場側と経営側の意見の違いの中でも、制約と誓約(クラピカみたいに)があるため、踏ん張りましたね。その時の経験がものすごく糧になっていると思います。

その踏ん張った期間はおよそ10年。その最後の二年がまさに苦難でした。

2011年の東北の大震災とその翌年です。

コロナ影響下の昨今とは比べ物にならないくらいお客さんがいませんでした。

というのも当時の客層は建設業の従事者と広告代理店?とかの人たちが多かった。

震災復興のために建設業のお客さんは物理的に東北にいってしまいましたし、日本全体に「家族」「絆」などに重きをおく価値観の転換が起こって、お金や時間の使い方に大きな変化があった。

「死」がより身近になり、「生き方」を考えた人たちが多い中で「家族を家において自分はサウナにいく」というのはちょっと違うかなと思う人が増えたのだと思います。

その時の入客減のイメージは、それまでと比べごそっと8割減ったような感じでした。

物理的に東北にいってしまったお客さんと、仕事を失ってこれなくなった常連さん、ある種の感度が高い広告系?の人などの価値観の変化が重なり、入客回復の目処なんて全くたたない状況でした。

話は少しそれますが、今になって振り返ってみれば、2012頃から現在に繋がる新しいサウナブームの芽が出たのかなと感じています。

というのも、2011の震災やそれまでの大きな社会的事件(1995の阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件、2001年の9.11など)を受けて「心が疲れてしまった若者〜青年たち」が増え、その辺りの人たちがサウナを見つけはじめたのではないかと思います。

その当時、サウナに”救われた”と感じる人が現在「サウナに恩返ししたい」というキーワードで活動しているのかなと、今になると感じることですけどね。

とはいえ2012年当時はそんな事を考える余裕もなく、立ちはだかる「大幅入客減」にどう対処するかで頭がいっぱいでした。

当時のサウナ界隈の雰囲気は
「若者なんてくるはずがない」=ネットカフェが当時流行っていた。
「宿泊客もカプセルよりは個室に泊まりたい」=SUPERHOTELなどの安いビジネスホテルが流行っていた。
という時代の空気感から、

「もうサウナなんてやっててもだめだ」

「サウナに入るパイがない」

「サウナはもう保たない」と、のれんをおろす施設も多かった。

ただ僕には誓約と制約(クラピカみたいに)があったし、そのタイミングで前支配人と現場責任者が退職し、当時副支配人だった僕がニューウイングの支配人につくことに。

周りの環境的には「お先真っ暗」感が強かったけど、僕には自信がありました。

これまでの「僕だったらこうするのに」の蓄積から、とりあえずそれを全部やればうまくいくという確信。

具体的には「お客さんの休憩室の場所やレイアウト変更」「お風呂のアメニティなどの充実」などから手掛けていきました。

「自分の好きなサウナは自分と同年代の客層に響くはず」

という思いがありました。

「きてくれたお客さんをどうやってリピーターにするか?」がまずは肝心だと思い、良いと思える施策は前任の責任者の意見であろうがこだわりなく導入、徹底しました。

感覚としては、

これまでも言われてきたことの徹底が7割、

新しくした方がいいと思うことの導入が3割くらいのイメージで変更していきました。このバランスも重要だと思っています。

そういう取組みの中で、目に見えてリピーターさんが増えていきました。
現場の声を生かす形で進めてきた改革なので当然と言えば当然でしたが、そもそもの大幅入客減を埋めるほどにはなかなかならなかった。

そういう日々の改善でしのぐ苦境の中、

ある日「ヨモギーさん」がきました。

「ニューウイングでサウナイベントをやりたい」つって。

当時そんなの見たことも聞いたこともなかったですが、「面白そう」と思って快諾しました。

2016年11月に行われた「第一回サウナサミット」では今も界隈で活躍している愛好家が11人くらいきてくれました。

当時僕は「11人もくるの?」と驚きました。

また同時に「サウナオタク」みたいな人がいるんだなぁと思いました。

サウナなんてものにフリークがいたのかと衝撃を受け、また同時に「コレだ!」みたいな感触もありましたね。

当時のニューウイングはボナサウナは今よりぬるめ、冷水プールと水風呂の温度帯は逆でした。(プールがぬるく、水風呂がキンキンの設定)

この時に集まった11人が「ボナはもう少し熱くした方がいい」「冷水プールと水風呂の温度を逆にした方がいい」という意見をくれて、現在のニューウイングのセッティングやレイアウトにつながっています。

そのイベントで印象的なのが「サウナ遠征」の話で、「○○のサウナがめちゃいい」「××エリアならこのサウナ」などという会話がやりとりされてました。「プロでもないのにサウナのために旅行するの!?」という衝撃がありました。

当時のイベントで交わされていた会話は、当時は常識外れな話ばかりでしたが今になって思えば、
現在のサウナブームまで続く「新しいサウナの楽しみ方」の芽生えだったんだなと思います。

その時話題になってた施設は今も有名施設だもんね。

サウナサミットはその三ヶ月後の2017年2月に2回目が開催され、参加者は二重数名になっていたはず。
同名のイベントはニューウイングでコレまでに合計5回開催されていますね。

いろいろ準備が整って2017年に「第一回サウナサミット」で言われていた改善点を生かすような形でサウナ室をフルリニューアルしました。

同時期にテレビや雑誌などへの掲載がきっかけになり、2018年にかけて入客数は一番よかった時期と比較して8割程度まで回復しました。

2019年はドラマサ道の影響で月1000人程度入客が増え、もうそろそろ入らないぞ。と感じる日も増え、翌年にはオリンピックも控え順風満帆かと思っていましたが

2020年コロナの影響でガタ落ち、今に至るようなイメージです。

・めちゃめちゃ面白いです。伝説の東京温泉から、現在のサウナブームの「はじまりのはじまり」に至るような貴重なお話ですね。ちょっとまた軽めの質問です。サウナ施設での仕事において面白いな〜と思うポイントを教えてください

ホコリをとると「きれいだね」と言われるところ。

・それどういうことですか?笑

サウナでの仕事は掃除してれば褒められるし、してなければ「汚いね」と言われる。
コール&レスポンスがめちゃめちゃわかりやすい仕事だと思う。

意外と施設の人でも「ここは流石にみてないだろ」って思ってる人いると思うんですけど、お客さんはみてますよね。

やればやっただけ、やらなかったらやらなかっただけ評価されるから面白い。

・なるほど。それに付随するかもしれませんが、吉田さんといえば「サウナのセッティング」だと思いますが、そのこだわりはどういうところにありますか?

自分が入って気持ちいいかどうかですね。

・シンプルですね笑 ではそのセッティングを実現するための「具体的なやり方」を差し支えない範囲で教えてください。

僕の体感ベースの話になるんですけど、

うちのボナにおいての気持ちよさっていうのは、
体感温度で言うと「3℃の範囲内(98-101℃)」にあると思ってて、
そこの範囲内に収めるようにセッティングを考えています。

この範囲は、ビギナーも玄人も満足度の高い体感だと思っています。

例えばウチのボナの場合に、サウナ内の温度計の表示が92℃とします。
そうすると、うちは湿度があるから体感温度は98℃くらいと捉えますね。
なのでその時には「上に3℃の余裕があるため、湿度をコントロールすることで体感温度をあげても大丈夫」という理解ができるわけです。

・なるほど、体感温度を測る指標として温度計が役立っているわけですね。

そういうことになりますね。

例えば夏の場合は外気温が高いため、ボナの温度計は90℃を最大値くらいに据えて、そこから「3℃の範囲内」に収めるようなイメージです。

僕の感覚的な話ですが、ボナの中の空間を、温度と湿度の違うボーダー柄が立体的に上から下に落ちてくるイメージで捉えます。

そのボーダーの「湿度の低いカラカラ部分」をいかに細〜くするかが常にテーマとしてあります。

コレばっかりは自分で毎日毎日入って、設定をいじくって試行錯誤することでしかわからないと思いますね。

もちろんお客さんが多ければ温度は下がりますし、水風呂はあったまってしまうので目標値がそこのあたりという話ですが。

・なるほどです。めちゃめちゃ面白いですね。さらに付随するかもしれませんがニューウイングさんといえば「施設内に仕掛けられた罠」ですが、いくつか質問です。新作(?)の罠があれば教えてください
最近、浴場内のととのい椅子を増やしました。
実は、色を変えているんですがそこにはメッセージが込められています。

・それちょっと詳しく教えてください笑
まず、元々”風の滝”の下にあった椅子は白かったんですが、今は青くなっています。
コレは「水の椅子」です。水風呂を眺めながら風にあたれますし、目の前の水風呂を浴びることもできます。

さらに、その横に白い椅子を並べていますが、コレは「風の椅子」です。
風の椅子は、目の前に扇風機を置いてまして、風を浴びることに特化した休憩場所です。

さらに、その横、二俣温泉の前あたりは茶色い椅子をおいています。コレが「土の椅子」です。
意外といるのが「外気浴」より「内気浴」を好む人たち。そういう人に向けたエリアです。
彼らは風などで冷やされるよりも、穏やかで自然な乾燥というか休憩を楽しみたい人たちで、意外と一定数います。

さらに赤い椅子が、自動ドアから入って真正面にあるのですがコレは「AKIRAの椅子」です。
コレは換気扇の近くにあって、一番外気浴にちかい環境ですが一個しかありません。
AKIRAのあいつみたいに王っぽさも楽しめます。

これらのメッセージに関して特に発信していませんが、
色分けするだけでなんとなくお客さんが自分にあったスタイルを選んでいるような気がしています。

以前は”風の滝直下”が一番人気でしたが、コレらを導入した後はかなりバラけるようになったと思います。

・めっちゃめちゃおもしろいです笑
確かに、言語化してなかったですが外気浴なくても満足度の高い施設もあるし、僕自身季節によってはあんまり外気浴しないかも。

その言語化されていない欲に対して、誰にも言われずにすくいとり、色彩のイメージだけで応答するっていうのは超絶ヤバイコミュニュケーションですね。

吉田さんの罠の貼り方は(2Fから3Fへの導線を階段の床材で表現、水のあるところに人は集まるなど)、無意識レベルの人の体感や安心感(?)さらには色彩のイメージに訴えかけて「ついついそうしちゃう」ように仕向けるような印象ですが、それってすごく難しいことではないかなと思います。何か参考にしている物や考え方はあるのでしょうか?

参考にしてるものというか、考え方としては「お客さんには伝わる」ということですかね。

例えば映画とかって、別にいちいち心情とか状況とか説明しないじゃないですか。
でも大体伝わるし、それって「見る人の感受性を信頼して物を作る」ということですよね。
まぁ伝わらない人も全然いるしそれはそれでOKだけど笑

僕のポリシーとして「聞かれれば自分の中の答えを言う」というのがアーティスト?とかとは違うところかも。
「あなたが感じた物が答えです」というのはないですね。答えがあるので。

・自分の仕掛けた罠によって具体的に変化のあった事例で印象に残っているものがあれば教えてください。
5Fに水を置いたことですね。
死んだ部屋が見事に生き返りました。水を置いただけで笑。

・ここ数年サウナブームと言われていますが、以前と以降のお客さんについて「変わったなぁ〜」ないしは「変わってないなぁ〜」と思うところを教えてください
ニューウイングで言えば「マナーがよくなった」かなぁ。
昔はもっとべちゃくちゃフルスイングで喋ってたし、それが普通だった。
今はコロナの影響もあるから一概には言えないけどね。

・ここ数年サウナx○○で活動をするサウナ愛好家が増えていると思いますが、吉田さんが注目している人やグループがいれば教えてください
サウナイキタイ。

サウナイキタイができて以降、シーンへの貢献度はぶっちぎりだよね。
特に一回めのコロナの時のサウナマーケットの取組みの凄さとスピードには驚いたし、何よりも助かっている施設が相当多いでしょ。

・めちゃくちゃに同意です。さらに、サウナx○○の部分で「こんな○○あったら面白そうだなぁ〜」というものがあったら教えてください。
コレもサウナイキタイかなぁ。
僕の考えだと、コレまでのサービスを超えていくとすれば、数値化、言語化出来ない施設の魅力を今後どうやって表現していくかとかが課題になる気がするね。彼らがそう思ってるかどうかはわかんないけど笑

・少し話が変わりますが先日の吉田さんのnoteはちょっと鮮烈でした。あれの反響などについて教えてください。
反響に関してはみんな「店まで来て直接言いに来てくれる」というのがありますかね。
SNSなどでは同意しづらかったのかもしれないね笑

あとはいつもあんまいいねとかしない人もいいねくれたり。

「2020年が終わった感じがしました」とか「スッキリした」みたいな意見が多かったかなと。

まぁ伝わってないのかなという人もいたね笑
文字だけで伝えるのっていうのは難しい笑

・なるほどです笑 文章で言えば個人的に、吉田さんの書かれた「猫ちゃん狂想記」での物語が本当に、はちゃめちゃに衝撃的でした。
“ニューウイングのチラーが壊れる”という冒頭から一気に読まされ、(まさに”読まされる”という表現がぴったりでした)正直めちゃめちゃ泣きました。多分ここ数年で一番泣きました。長男ですが我慢できませんでした。

あの本についてもいまだにたまに言われるんだよね。めっちゃ良かった的なことを。

最初ブタゴリくんから「猫ちゃんについて本を作るので、書いてください」と言われたのがきっかけですね。

実はもっと全然前の段階で、飼ってた猫のクロが体調が悪くなってて、

家で、

「オレ最近サウナで有名になったんだぜ〜」
「生まれ変わったら人になってサウナ行けよな。気持ちいいからさ」

とか話しかけてたんですよね。

でもまぁ室内飼いの猫だからあんま外行かないかな?と思って”にゃ〜ハット”を作ったんです。

”にゃ〜ハット”は実はそれ自体が僕にとっての”クロ”なんですよね。

あれをかぶっていろんな人がいろんなサウナに行ってくれれば、
それは僕にとって”クロ”がいろんなサウナに行っていることになる。

クロはいつも家でレオに守ってもらっていたから、きっと一人だと心細いだろうなと思ってレオっぽいのも作って、一緒に行ってて欲しいなと。レオはまだ生きてるけど笑

クロが亡くなった状況はあの本に書いてあるそのままで、
その後にブタゴリ君から話をもらったから、クロの供養の意味も込めて書いたのがあれですね。(※コレは読んだ人には伝わると思うのですが、”供養の意味を込めた”という言葉だけでかなりキますよね)

そのあとも何回か読み返しましたが物語の構成、言葉の選び方、文章から湧き上がる映像など、「コレもう支配人ちゃうやん。プロやん」という印象でした。そもそも何故あの物語をかけるんですかね?笑

実は僕も書きながら泣いてましたね笑

難しい質問ですが、映画が好きだから?わかんないけど。

物語を書くっていう意識よりも、書きたい部分がいくつかあって、それをつなげるためにいろいろ足したり引いたりしてああなった感じですね。

後日談ですが、”にゃ〜ハット”を愛用してくれてる人たちがフィンランドのサウナに行ってたりしたのはうれしかったですね。
「オレも行ってないとこ行ってるじゃん」って驚きました笑

・電子書籍でも、コピー本でもなんでもいいので再発希望です。あれは本当にヤバイのでどんどん広めていろんな人に読んでもらいたいです。ついでにいうとトウホグZINEも全部再発して欲しいです。コレは関係ありませんが笑

そう言ってもらえると嬉しいけど、今んとこ予定はないかな笑

※ニューウイングで完売しただけで、在庫はあったようです笑 マジで読んで吉田さんの文章のすごさを感じて欲しいです。

・最後にいくつかコロナ関連で。コロナ影響下では多くのサウナ施設さんが苦境に立たされていると思います。さらに、感染拡大の時勢を受けて関東では2020/1/8〜 2度目の緊急事態宣言となりますが、そこでいくつか質問です。オリジナルアイテムの販売や自社ECサイトにいち早く取り組まれていました。言える範囲で構わないので、やってみての実績や印象。他の施設さんへのアドバイスなどあれば。

まず最初に、施設さん全体に伝えたいことがあって
「絶対に自分の施設にはファンがいる」ということに気づいて欲しいなと思います。
おそらく自己評価的には「自分たちのサウナ施設にファンなんているわけない」と思ってると思います。

自分たちもそういう意識はあったけど、やってみたら思ってもない遠い地域の人から「行ったことないけどいつか絶対行きたいので」って注文してくれたり、逆に当たり前にきてる人たちがさりげなく購入して応援してくれたりした。

「来た事ないのにウチの館内着とか買ってくれるんだ!」

「あのいつもいるおじさん、今日ウチのグッズ持ってきてましたよ」

まさか!みたいなことが本当にあって。

なんでもいい。小さいところからでもやってみたら「え?意外と応援してもらえるかも」という実感になると思うし、新しい挑戦の刺激がスタッフのモチベーション、緊張感にも繋がるからとてもいいと思う。

そういう意味ではサウナイキタイのサウナマーケットから始めるのもいいと思うしね。間接的にではあるけど応援してくれる人がいるっていうのがわかるじゃない。

自前でやる場合、配送に関しては不慣れだろうからちょっと大変だけど、やってやれないことはないから多少準備して、できる範囲からでもやるのがいいと思う。多少時間かかってもお客さんは待ってくれるだろうし。

困ってるなら聞いてきてくれてもいいし。

・なるほど。実際、ポータブルサウナマットにお店のロゴを入れて販売するアイデアはニューウイングさんが一番早かったと思います。その後にいくつかの施設さんも導入されてましたが、吉田さんが作り方をお伝えした施設さんも多いらしいですね。

聞いてくれた施設さんにはお答えしましたね。

・あれもコロナ影響下では嬉しいグッズ展開でした。逆にコロナ影響下において、お客さん=サウナ愛好家に対して望むことはありますか?

当然だけど感染防止のための自己防衛と他人への気遣いをしっかりやって欲しい。施設側の感染対策も完璧じゃないだろうし。
マスクを外しているんだから浴場内ではしゃべらないとか、飲食スペースの使い方とかそういうことですね。

・ニューウイングさんにおいて、うまくいったなという工夫や取組みがあれば教えてください。

貸し切り(時間で区切り、定員を決めて営業したケース。一人当たりの入浴料は当然割高になった)は、
やる前はめちゃ怖かったけどやってみたら意外とよかったかな。

具体的には、
女性がのびのびと施設を使えるのは嬉しい。
家族(混浴)でニューウイングに来れた。
孫がおばあちゃんを連れてこれた。

などの喜びの声があった。

この時もコール&レスポンスが起こったような体感があったね。
きてくれた異業種の人たちからも「こういうやり方でもしっかり埋まるんですね」と驚かれた。

・コロナ影響下において今後の運営で取り組んでみたい構想、アイデアなどがあれば教えてください。
サウナ施設の横のつながりを強めるようなイベント?とか取組み?をやりたい。サウナ以外の飲食店とかでもいいし。

基本的に個別でイベントだったり、取組みを頑張っていると思うので、それが連動するような動きをしたい。

今週はニューウイング でこういうイベントがあります。同様のイベントが来週は黄金湯であります。とかね。

・なるほど、最近僕もSNSで見かけたのですが北陸2県?を熱波師さんがツアーで回るようなイベントを見かけました。普段なかなか体験できないイベントを複数日に渡って横展開するのは、イベントが気に入れば追えるかもしれないし、それが別の施設さんへ「行ってみる機会」にもなりそうですよね。

そういうのやってるんだね。めちゃいいと思う。

前回のブームが萎んでしまったのは「自分の店がよければいい」というようなところに遠因があるのではないかと思っている。

店単体でやるよりは近所の店と一緒にイベントやったり、商店街とか地域とかで連帯することで相互に協力できるような”繋がり”を作れたら面白いかなと思ってます。

・実際去年の年末にやった錦糸町レディスデーはとても良いモデルだと思いました。実際参加させてもらって、黄金湯さんや参加された居酒屋さんなどの後日談を聞いていても意義があった気がします。
自分の生活圏の近所でも行ったことないお店(飲食店やサウナ)ってあると思うんですけど、イベントを一緒にやったら一気に心の距離が縮まる気もしますね。「今まで行ったことなかったけどあそこのサウナ(飲食店)行ってみるか」みたいな。

そうだよね。
実際正確にはあのイベントの効果を測れてないし、まぁ測らなくてもいいかなと思うんだけど、関わってくれた地域の人たちからは「またやりましょう」みたいな声も届いているしね。
いきなり大掛かりにガバッと仕掛けるよりはちっちゃいところからやっていくもいいだろうし。

・新しいムーブメント感もあってすごくいいと思いますし、広がりができるのは楽しみですね。

今日は長い時間に渡ってインタビューにご協力いただきありがとうございました。

ありがとうございました。

インタビュー終わり

さて、いかがでしたでしょうか?

自分的には溜まっていた「吉田さんの面白さ」を解消できたので満足です。

施設の人とかにも読んでもらいたいインタビューになったと思います。気にってくれたら是非拡散して欲しいですね。

こういうところをもっと知りたい!とかここをもっと掘り下げてくれ!とかあったらコメントしてもらえると嬉しいです。答えられないのは流すかもしれませんが笑

また機会があったら他の施設さんのインタビューもしてみたいですね。

読んでくださりありがとうございました。

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