ご機嫌いかがでしょうか?
サウナグッズ研究室です。
今回は、普段しらかばスポーツでお世話になっている
ラトビアのサウナウィスク農家さんをインタビュー形式でご紹介させていただきます。
関連記事も併せて是非!
いわゆる”ヴィヒタ”をいろんな国、メーカーさんの物を試し
サイズ、耐久性、価格、情熱などから、現状僕たちにベストフィットと思う
「ラトビアのサウナウィスク」
について、
さらには馴染みのないバルト地方のサウナ文化について
窺い知れるようなインタビューとなってます。
お時間あれば是非読んでってくださいませ〜。
インタビュー
Q. あなたの経歴を教えてください。また、現在の仕事に就いたきっかけとその時期を教えてください。
A.
私はラトビア東部の小さな村で生まれました。この地域は、ラトビアで最も高い山々、緑の森、美しい牧草地で知られています。
高校卒業後、大学で歴史と広報を学びました。私は人生でさまざまな仕事をしてきました。銀行、広報、広告代理店、映画館、スキーインストラクターなどで働いていました。しかし、私はいつも自然に囲まれて働きたいと思っていました。
そして、ある美しい夏の朝、オーストリアでのスキーインストラクターの仕事から帰ってきたとき、私はサウナウィスクを作りたいという考えで目が覚めました。おかしなことに、私はそれをやったことがなく、その方法も知りませんでした。
それから私は必要なスキルを教えてくれた師匠に出会い、技術を教わりました。
その技術を元に、サウナウィスクの品質をさらに改善するために自分自身で試しました。
それがすべての始まりです。
私はすでに10年間、サウナウィスクを製造する会社を経営しています。毎年、新しいタイプのサウナウィスクを作成しています。
現在35種類をご用意しております。
さらに、11月に私は園芸学校を卒業しました!
そこでは新しいサウナウィスクで使用するハーブについての知識を深めました。
Q.あなたの働く環境について教えてください。
A.私たちの工場は私が生まれたのと同じ村にあります。
これは工場から見える景色です。
これは家業であり、主な従業員は私の家族です。
小枝が切れるハイシーズン(6月〜8月)にのみ、追加のスタッフを雇います。
60年前に祖父が建てた納屋と倉庫を復元し、サウナウィスクの乾燥、梱包、保管に使用しています。
私たちのサウナウィスクはすべてオーガニックで手作りです。
森で木の小枝を切り、牧草地でハーブを摘み、梱包します。
Q.お仕事の年間スケジュールについて教えてください。
A.サウナウィスクの製造は6月上旬に始まります。
6月は、白樺のサウナウィスクを製造し、ジャスミン、カモミール、ペパーミントの茎、その他のハーブを収集するのに最適な月です。
カエデ、ナナカマド、リンゴの木、ヘーゼルのサウナウィスクは、7月に切った小枝からのものを使うのが最適です。
オークのサウナウィスクは、8月の初めにカットされたものが一番耐久性があります。
夏が5月末に来る年もあるので、人間が作ったカレンダーではなく、常に季節の移り変わりを気にする必要がありますが、6月中旬にだけ採れる種類もあります。
ラトビアは夏が3ヶ月しかないため、製造期間は非常に短いです。
これは、私たちが私たちに与えられたすべての宝物、自然の恩恵を集めるために1日14〜16時間働く時間です。
秋には、サウナウィスクが十分に乾いた後、サウナウィスクをかび臭さから保護する別のビニール袋に詰めます。冬には、サウナウィスクが良質に保たれるように、保管中の温度を常にチェックしています。
Q.サウナウィスクの仕立て方を教えてください。
A.私たちのサウナウィスクはすべて手作りで、種類ごとに違う技術があります。
たとえば、白樺のサウナウィスクは、古いものではなく、若い白樺の木だけから作られています。
葉はエッセンシャルオイルが豊富で熟している必要があります。それを逃すと、サウナウィスクの葉が落ちやすくなります。
葉が最高の状態になったら木の枝を切り、集めて、工場に運びます。
次に、持ち手となる部分から葉を取り除き、長い小枝と短い小枝に分けます。
その後、小枝を並べて枝がむき出しにならないように(※葉っぱが落ちて枝だけになるとウィスキング時に痛くなる)素敵なサウナウィスクを作ります。
最後に、サウナウィスクはリネンのひもで結びます。
サウナウィスクは乾いて梱包されるまでに3〜4週間かかります。
Q.ラトビアではサウナウィスクはどのように使用しますか?ロシアのようにウィスキングをサービスとして行う人はいますか?
A.サウナウィスクの使用法は、ラトビアとロシアで非常に似ていますが、サウナマスター(サービス者)のスキルによって差があります。
また、ロシアの人々はラトビア人よりも大きなウィスクを好みます。
※これはしらかばスポーツの実感としてもそうでした。ロシアやフィンランドのサウナウィスクに比べ、ラトビア産は小ぶりで振りやすく、また、葉が落ちにくい気がしていて日本人向けと感じます。
経験豊富なサウナファンは、入浴手順の2回目のセッションとしてサウナウィスクを使用します。
まず、彼らはサウナ室に入り、体のすべての毛穴を開き、毒素から身を清めます。
少し休んだ後、サウナマスターはサウナウィスクを温水に浸し、ウィスクを使ってゲストの体を軽くたたき始めます。ウィスキングを受ける人は、サウナ室で寝転びます。
これにより、熱気が体全体に均一に行き渡ります。
寝ないで、上半身に熱が集中してしまうと心臓の問題を引き起こす可能性があります。
誰かをサウナウィスクでマッサージするときは、背骨、脚、胸に沿ってスムーズに作業する必要があります。
ラトビアには多くのラトビアスタイルのサウナとロシアスタイルのサウナがあります。
<ラトビアのサウナ小屋>
Q.あなたのサウナウィスクの特徴について教えてください。
A.
私の考える「良質なサウナウィスク」は、サウナで繰り返し使用できることを意味します。
私たちのサウナウィスクを使った後、温かいサウナ質に入れて乾かし、次の使用まで温かい乾燥した場所に保管してください。
耐久性は、使用しているサウナウィスクの種類によって異なります。バーチ(白樺)、メープル、ヘーゼル、ローワンのウィスクは2〜3回、オークは2〜4回使用できます。
もちろん、ウィスキングの強さにもよります。
良い品質を得るには、使用前に正しく準備する必要があります。
最初に冷水に30分間浸し、その後温水に5〜10分間浸す必要があります。
また、私のサウナウィスクのパッケージにはいくつか穴が開けてあります。
これは、袋のまま水に浸すことでゆっくり水を含み、葉が落ちにくく美しい状態で戻すことができるようにする為です。
※これも面白い工夫でした。メーカーさんによってはネットを被せていたりすることもあります。
また、サウナウィスクの素材は、森や牧草地からのみ集められているのでウィスクを浸した水を、お茶としても利用できます。
サウナウィスクにランキングはありません。
その人のその時の気分にフィットするサウナウィスクがベストです。
Q.私たちは色々な国、メーカーさんのサウナウィスクを試しました。あなたの作るサウナウィスクは小ぶりで振りやすく、丈夫で日本人に合っていると思います。少し奇妙に感じるのですが何か原因はありそうですか?
A.正直なところ、ラトビア人と日本人は世界を見渡しても共通点が多いので、これはおかしいとは思いません。
日本人は自然と共存しており、自然をコントロールすることはできないことを知っているはずです。
ラトビアの人々の考え方とまったく同じです。
私たちは自然のルールに従って生活し、自然から得たものを還元することで自然と協力しようとしています。
古代ラトビア人の宗教は自然の力に関連しています:Pērkons(雷)は法と秩序の守護者であり、Saule(太陽)は大地の豊饒を保証し、特に孤児や若い羊飼い、川の不運の守護者であるダウガヴァ川は、生者と死者などの世界の境界を示しています。
これは、古文書に残る古い風習ではありません。
多くのラトビア人は、今でもこの古代の宗教を実践しており、若者でさえ、ラトビアの象徴が付いた服を着たり、ラトビアで物を買うことを誇りに思っています。
また、サウナのドアには”sign of protection”が見られます。
同じことがサウナウィスクにも当てはまります。
魔除けのような物?
私たちはあなたと同じように、(ロシアなどの)大きなものよりも、通常サイズのサウナウィスクを好みます。
多くのラトビアのサウナマスターは、30〜35cmの短いサウナウィスクを好みます。サウナウィスクの完璧な長さは、マスターの肘から指の先までの長さであると彼らは言います。
サウナウィスクから得たいのは、軽い芳香の蒸気と体と魂のための穏やかなマッサージであり、耐えられないほどの熱と背中の赤い縞模様ではありません。
<ラトビアの一般的なサウナ室>
ストーブの形がかわいい!常時蒸気をあげる釜のようなものも見えます。
ロシアっぽさもありますね(天井低い、座面広い&高い)
Q.今更ですが、あなたはサウナが好きですか?笑 また、あなたのサウナの楽しみ方を教えてください。
A.はい、私はサウナが大好きです!笑
サウナの時間は私にとって瞑想であるため、私は公共のサウナよりも個人のサウナ体験を好みます。
それは私がすべての負のエネルギーを解放し、明日のために力を集める場所です。
普段私は、最初にサウナでウォームアップし、次のセッションではボディピーリングを使用します。
その後、肌を蜂蜜でケアし、サウナウィスクでマッサージします。
私のお気に入りのサウナウィスクはメープルです。
セッションの間に私は冷たい水で泳ぐのが好きです。
暑さと寒さのコントラストが血管を動かし、体を強化し、肌の弾力性を回復します。
最後に、心をリラックスさせて落ち着かせるオーガニックミントティーでサウナセレモニーを終えます。
Q. サウナにハマったきっかけを教えてください。
A.きっかけというのはありません。
ラトビア人にとってサウナに行くことは非常に古い伝統です。
私たちの祖先は毎週土曜日にサウナに行き、そこで彼らは勤勉な週から休憩し、昔の唯一の休日であった日曜日の準備をしました。
日曜日に彼らは教会に行き、家族や親戚と時間を過ごしました。ラトビア人のためのサウナは瞑想です。
それは世代から世代へと移り変わり、私にも起こりました。
Q. なるほど。ラトビアのサウナ文化の特徴は何ですか?
また、フィンランド、ロシア、リトアニア、エストニアのサウナ文化についての感想をお聞かせください。
A.ロシアには少し違う伝統があると思います。
ロシアの人々はより多くの公共のサウナを使用しています。
男性は一緒に集まり、ビールを飲み、サウナセッションの合間に食べ物を食べ、一緒におしゃべりします。ロシアの人々にとって、サウナは集会所のような場所であるように思います。
スカンジナビアとバルトの人々にとって、サウナはよりプライベートなイベントであり、より静かで瞑想的です。
しかし、私たち全員に共通していること
–男性と女性は裸でサウナに行き、一緒にサウナに行くことはありません。
最初は女性がサウナに行き、次に蒸気が非常に熱くなると男性はサウナに行きます。
Q.面白い現象ですね!同じ設備を男女が時間をわけて共有するんですね。他にそのような国はありますか?また、その順番では女性が低温のサウナ、男性が高温のサウナになります。日本では女性が男性と同じ高音サウナを求めることが多いのですが、ラトビアではどうですか?
A.私が知っているように、サウナを使用した古代の文化のほとんどでは、男性と女性が異なる時間に同じサウナを使用していました。
女性は通常、子供(男性と女性の両方の性別)と一緒に日中にサウナに行きました。サウナはぬるいわけではなく、長くてつらい一週間の後に入浴し、魔法のサウナの儀式を楽しむのに十分なほど暖かかった。
一般的には女性と子供の肌は男性の肌よりも柔らかく、男性の肌が許容できる熱に耐えることが難しいのではないでしょうか。
すべての人に常に個別の注意を払う必要がありますが、人は常に自分の体感に耳を傾ける必要があります。
つまり、自分の健康に害を及ぼさないようにどこまで行けるかです。
Q. ラトビアでオススメのサウナは?
A.ラトビアで最も一般的なのは、いわゆる湿式サウナです。
ここでは、熱い石の上に水を注いで蒸気を生成し、空気を湿気のあるものにします。
人々は通常、一般的なサウナを楽しんでいますが、よりエキゾチックな体験をするには、"黒いサウナ"を試してみることをお勧めします。石の下で燃えている火は、浴場全体をすすで覆っています。
<ラトビアの黒いサウナ>
ラトビアの何百ものゲストハウスのいずれかで本格的な入浴の儀式を体験することが可能です。
Q.黒いサウナはロシアやフィンランドにもあるようです。
日本にも一つありますが、ものすごく原始的で素敵な体験でした。バルト地方でもかなりの数があるのでしょうか?
A.正確な数はわかりませんが、かなりたくさんあります。
ラトビア地域のラトガレ(ラトビアの国の4番目のエリア)では、2軒おきに黒いサウナがあります。なのでかなりの数になるはずです。
<ラトビアの黒いサウナ>
Q.サウナに行く頻度と、持っていく道具があれば教えてください。
A.冬は月に3〜4回サウナに行きます。夏はあまりサウナに行きません。
私はいつもサウナハット、サウナのシートカバー(リネンや植物でできている)、時にはボディピーリング、蜂蜜、お茶、そしてもちろんサウナウィスクを持っていきます。
気分に合わせてウィスクを選びます。
アロマテラピーが必要なときは、ハーブMIX、白樺+ミント、白樺+レモンバーム、ブラックカラント(カシス)、チェリーツリーを使用します。
より強いマッサージが必要な場合は、オーク、白樺+ジュニパー、または白樺+ネトルがいいですね。
その時の気分や、好みに合ったサウナウィスクが常に選べます。
※上記の種類で現状取り扱いのないものもあります。それは「自分たちで試して納得したものしか扱わない」というしらかばスポーツのポリシーで、使ったことが無かったり、「これはまだ差別化が難しい」と判断している物もあります。卸で希望があれば取り寄せも可能です。
Q.普段、僕たちはロシア仕込みのウィスキングで使用させてもらっています。叩く、仰ぐ、押し付けるなどが基本の技術になるのですが、ラトビアのウィスキングの技術でオススメの使い方などはありますか?
A.ラトビア人はロシア人と非常によく似た使いかたをしますが、すべてのサウナマスターには独自の技術があります。
試してみる最良の方法は、ラトビアに来てそれを楽しむことです。
なのでラトビアに来てください!
<ラトビアでのウィスキング風景>
Q.最後に、日本のイメージ、日本のサウナ、文化について知っていることを教えてください。
A.私は日本に行ったことがありませんが、私は絶対に最高だと思っています!
私は日本人、文化、自然、そして生き方についてだけ良いことを聞いたり読んだりしました。
実は2021年4月に日本へのチケットを買ってみました。
旅がコロナウイルスによって破壊されないことを願いましょう。
私は旅行が大好きで、多くの国に行ったことがありますが、日本は他の国とは異なり、西洋文化の人々にとって驚きに満ちています。
他の人の印象に、新鮮な驚きを台無しにしたくないので、最近日本についてのブログを読むことを避けています笑
何かを発見し、日本で私が行うすべてのステップに驚きを持っています。
日本のサウナにも行く予定です。その後に私がどう思うかをお知らせします。
インタビュー終わり
いかがでしたでしょうか?
ラトビアの人々は、静かで目立つことを嫌い、謙虚で勤勉だそうです。
ちなみに、「言葉は銀、沈黙は金」という有名なことわざはラトビア産。
体格的には日本人よりも大きいはずなのに、日本人が好むサイズのサウナウィスクが生まれたのはその辺りの気質がそうさせたのかもしれませんね。
また、しらかばスポーツとしてもいろんな国のウィスキングの要素をどんどん吸収していって、日本のウィスキングマイスターとして、独自性を高めていきたいなと思います!
また、上記のサウナウィスクをどこで体感できるか?ですが
・通販で購入
・しらかばスポーツのウィスキングイベント
・しらかばスポーツ施設メンバーのウィスキング(船橋ジートピアさん)
・レイクサイドホテルみなとやさんの売店
が2020年11末現在の状況です。
イベントや、施設さんで使用、販売したいなどあれば是非ご相談ください。
※コロナの影響で納品が遅れがちなので、ご入用のタイミングの1.5ヶ月前くらいにご相談いただければと思います。
来年夏以降になりますが、めちゃくちゃかっこいい新商品も準備中です。
サンプル取り寄せ中でめちゃくちゃ楽しみです。。。
ではまた〜。
※注意※
植物に関する表記は、かなりむりくり翻訳している部分があります。
例)Oakは「ナラ」となるが、実物は日本でいう「カシワ」の方が近い。
Eucalyptusは種類が多すぎて日本で一般的に販売されているものと全然違う。
などなど。
僕たちが使うサウナウィスクは自信を持って「いいもの」と言えますが、「明らかにその水準にいってない」物を目にするシーン、「おそらくその水準にいってない」サムシングを使っているシーンもちらほら見聞きします。
国産のサウナウィスクのアイデアとしても是非参考にして欲しいですが、
あまり翻訳された植物名に囚われず「そういうのもあるのか〜」くらいの理解をしていただければと思います。
オリジナルな物を作る場合は、最低限のリサーチをして、実際に試作し、まず自分たちで試していくという地道な挑戦をしていってもらえると嬉しいです。めちゃめちゃ大変だと思いますが、いきなり歴史のあるヨーロッパのサウナ文化に追いつくのは無理があると思います。
そのためのご協力も是非させていただきたいと思っていますのでお気軽にお声がけくださいませ〜。